小児欠神てんかんは、小学校就学前後で発症することの多いてんかんです。
連日複数回「ぼーっとする発作(欠神発作)」を生じるのが特徴で、発作の時に特徴的な脳波所見を認めます。
基本的に年齢とともに自然終息するてんかんであり、適切な治療により良好な予後が期待できます。
小児てんかんの約1割を占める比較的頻度の高い小児てんかんです。
突然動作を停止してぼーっとする発作
1日複数回(数十〜数百回)で連日認める
長くても数十秒、突然始まって突然終わる
本人は覚えていませんし、周囲からも気づかれにくいため、「夜更かししているんじゃないか」「ゲームのしすぎなんじゃないか」などと本人や保護者が責められてつらい思いをしていることもあります。
また、思春期頃から全身のけいれん(強直間代発作)を起こすことがあるため注意が必要です。
小児欠神てんかんの診断には、詳細な病歴聴取と脳波検査が重要です。 特徴的な3Hz棘徐波複合が脳波で確認されることで診断が確定されます。
発作の様子、頻度、持続時間などを詳しく確認
特徴的な3Hz棘徐波複合の確認
発作を誘発して診断を確定
小児欠神てんかんに特徴的な3Hz棘徐波複合パターン
バルプロ酸ナトリウムまたはエトスクシミドにより比較的容易に発作は抑制できます。
思春期の女性でバルプロ酸ナトリウムが使いづらい場合はラモトリギンも選択肢になります。
カルバマゼピンやガバペンチンは欠神発作を悪化または誘発させることがあるため注意が必要です。
小児欠神てんかんは年齢依存性てんかんと呼ばれる自然に終息するタイプのてんかんです。
通常12歳頃までには発作を起こさなくなる
治療後数年間発作を抑制して正常脳波が維持できていれば薬を減らしていく
思春期に強直間代発作を起こすことがあり注意が必要
日本小児神経学会専門医・日本てんかん学会専門医による専門的な診断と治療
院内で脳波検査を実施し、迅速な診断が可能
当院では、子どもが安心して受診できる環境づくりを重視しています。発達や学習の状況、家庭環境など、子どもを取り巻く背景を丁寧に聴取し、必要に応じて小児科や他の専門科と連携しながら包括的な診療を提供しています。