熱性けいれんの症状を示すイラスト

熱性けいれん

乳幼児期に最も多く見られるけいれん性疾患
熱性けいれんについて詳しく解説します

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概要

熱性けいれんは、生後6か月から6歳までの乳幼児が発熱に伴って起こすけいれんです。

乳幼児期に最も多く見られるけいれん性疾患で、約20人に1人が経験すると言われています。

多くの場合は良性の経過をたどり、成長とともに起こさなくなります。

好発年齢

発症年齢

生後6か月〜6歳に発症
最も多いのは1〜2歳
男女差はほとんどない

頻度

乳幼児の約5%(20人に1人)が経験する最も頻度の高いけいれん性疾患です。

熱性けいれんの好発年齢の子供たち

症状

熱性けいれんの症状

熱性けいれんの症状を示すイラスト

発熱

38℃以上の発熱に伴って起こる

けいれん

全身の筋肉が硬直し、ガクガクと震える

意識消失

呼びかけに反応しない

典型的な症状

  • 38℃以上の発熱
  • 全身の強直性けいれん
  • 意識消失・白目をむく
  • 通常5分以内で自然に止まる

けいれん後の状態

  • ぐったりして眠る
  • しばらくぼんやりしている
  • 呼吸が荒い
  • 数分〜数時間で回復

緊急受診が必要な症状

  • けいれんが15分以上続く
  • 24時間以内に繰り返す
  • 部分的なけいれん
  • けいれん後の意識回復が悪い
  • 発熱がないのにけいれん
  • 生後6か月未満または6歳以上

分類

単純型熱性けいれん

(約80-85%)

特徴

  • 15分未満で自然に止まる
  • 全身性のけいれん
  • 24時間以内に繰り返さない
  • 良性の経過をたどる

複雑型熱性けいれん

(約15-20%)

特徴(以下のいずれかを満たす)

  • 15分以上持続する
  • 部分発作の要素がある
  • 24時間以内に再発する
  • 詳しい検査が必要

対処法・治療

けいれん時の対処法

すべきこと

  • けいれんの時間を測る
  • 安全な場所に寝かせる
  • 顔を横向きにする
  • 衣服をゆるめる
  • けいれんの様子を観察する

してはいけないこと

  • 体を強く押さえつける
  • 口の中に物を入れる
  • 体を揺さぶる
  • 水をかけたり冷やしすぎる
  • 口から薬を飲ませる

救急車を呼ぶ目安

  • 初回のけいれん
  • 5分以上続く
  • けいれん後の意識が戻らない
  • 呼吸困難がある

治療・予防

予防的治療

複雑型熱性けいれんや繰り返す場合には、発熱時のダイアップ坐薬による予防的治療を行うことがあります。

  • 37.5℃以上で使用開始
  • 8時間間隔で使用

体温調整

解熱剤が熱性けいれんを予防するというエビデンスはありませんが、体温調整も大切とされています。

  • 十分な水分補給
  • 解熱剤の適切な使用
  • 薄着にして体温調節

予後

熱性けいれんの多くは良性の経過をたどり、成長とともに起こさなくなりますが,「てんかん」の初期症状や、その後「てんかん」に移行する可能性もあるため、複雑型熱性けいれんの場合は、今後のフォローアップの仕方を医師に相談しましょう。

熱性けいれん後の良好な予後を示すイラスト

再発率

30-40%で再発するが、多くは2-3回まで

発達への影響

単純型では発達に影響なし

終息時期

多くは6歳頃までには起こさなくなる

単純型熱性けいれん

  • てんかんへの移行は約2-3%と低い
  • 知的発達に影響なし
  • 学習能力に問題なし

複雑型熱性けいれん

  • てんかんへの移行率がやや高い
  • 定期的な経過観察が必要
  • 脳波検査での確認

ハリーこどもクリニックでの診療

当院での熱性けいれん診療の様子

専門医による安心の診療

緊急時対応

熱性けいれんの緊急時には迅速な対応と適切な処置を行います

小児神経専門医による診療

日本小児神経学会専門医・日本てんかん学会専門医による専門的な診断と治療

家族への丁寧な説明

けいれん時の対処法や予防法について詳しくご説明します

ご家族に寄り添った診療

初めての熱性けいれんは、ご家族にとって非常に心配な出来事です。当院では、お子さんの状態を詳しく診察するとともに、ご家族の不安を和らげるよう丁寧な説明を心がけています。けいれん時の対処法や予防法、今後の見通しについて、わかりやすくお伝えします。