RSウイルス感染症の医学的イラスト

RSウイルス感染症

乳幼児に重篤な呼吸器症状を引き起こす
RSウイルス感染症について詳しく解説します

概要

RSウイルスの構造と感染メカニズム

RSウイルス感染症とは

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。

特に乳幼児において重篤な症状を引き起こすことがあり、細気管支炎や肺炎の主要な原因となります。

2歳までにほぼ全ての子どもが感染を経験し、生涯にわたって再感染を繰り返します。

感染力

非常に感染力が強く、飛沫感染や接触感染で広がります

流行時期

秋から春にかけて(10月〜3月頃)に流行します

重症化

特に生後6か月未満の乳児で重症化しやすい

症状

症状の経過

RSウイルス感染症は発症から5-7日目が症状のピークとなり、この時期に細気管支炎や肺炎を起こしやすくなります。

初期症状(1-3日目)

  • 発熱(37-38℃程度)
  • 鼻水・鼻づまり
  • 軽い咳
  • 食欲不振

重症期(5-7日目)

  • 激しい咳・痰
  • 呼吸困難・喘鳴
  • 多量の鼻汁
  • 哺乳不良・活気低下

年長児・成人の症状

年長児や成人では軽い風邪症状程度で済むことが多く、鼻水や軽い咳が主な症状です。

  • 軽度の鼻水・咳
  • 微熱または平熱
  • 数日で自然回復

乳幼児の症状

特に生後6か月未満の乳児では重症化しやすく、入院が必要になることがあります。

  • 細気管支炎・肺炎
  • 呼吸困難・無呼吸発作
  • 哺乳困難・脱水

重症化リスク

小さい乳児ほど重症化しやすい

RSウイルス感染症は年齢が小さいほど重症化しやすく、特に生後6か月未満の乳児では細気管支炎や肺炎を起こしやすくなります。

RSウイルス感染症の重症化リスクが高い乳児

重症化しやすい要因

年齢

生後6か月未満、特に生後3か月未満

早産児

在胎週数が短いほどリスクが高い

基礎疾患

心疾患、肺疾患、免疫不全など

重症化の症状

  • 細気管支炎・肺炎
  • 呼吸困難・無呼吸発作
  • 哺乳不良・脱水症状
  • 高熱・けいれん

入院が必要な場合

  • 酸素飽和度の低下
  • 哺乳量の著明な減少
  • 活気の著明な低下
  • 呼吸数の増加・陥没呼吸

緊急受診が必要な症状

  • 呼吸が苦しそう・ゼーゼーする
  • 胸がペコペコへこむ(陥没呼吸)
  • 唇や爪が青い(チアノーゼ)
  • ミルクを飲まない・吐く
  • ぐったりして反応が悪い
  • 呼吸が止まる・無呼吸発作

治療・対処法

RSウイルス感染症の治療

RSウイルス感染症の治療とケア - 吸入治療

特効薬はありません

RSウイルスに対する特効薬はなく、対症療法が中心となります。症状を和らげながら、自然回復を待ちます。

支持療法が重要

水分補給、栄養管理、呼吸管理などの支持療法により、症状の軽減と合併症の予防を図ります。

家庭でのケア

  • 十分な水分補給(こまめな授乳・水分摂取)
  • 室温・湿度の調整(加湿器の使用)
  • 鼻汁の吸引(鼻水を取り除く)
  • 十分な休息(安静にする)

医療機関での治療

  • 酸素療法(酸素飽和度が低い場合)
  • 点滴治療(脱水の改善)
  • 吸入治療(気管支拡張剤など)
  • 呼吸管理(人工呼吸器など)

吸入治療の重要性

なぜ吸入治療が大切なのか

RSウイルス感染症では、気管支や細気管支の炎症により呼吸が困難になります。吸入治療により、気管支を拡張し、痰を出しやすくすることで、呼吸を楽にし症状の改善を図ります。

継続治療の重要性

吸入治療は継続的に行うことで効果を発揮します。医療機関での治療だけでなく、ご家庭での継続が症状改善に大きく寄与します。

当院の取り組み

吸入器無料貸出サービス

当院では、できるだけ患児の症状を改善させたいという思いから、ご家庭での継続的な吸入治療をサポートするため、吸入器を無料で貸出しています。

お気軽にスタッフまでお声かけください。

気管支拡張

狭くなった気管支を広げる

痰の排出促進

粘り気のある痰を出しやすくする

呼吸改善

呼吸を楽にして症状を軽減

回復までの期間

軽症の場合は1-2週間で回復しますが、重症例では数週間から1か月程度かかることがあります。

咳は回復後も2-4週間続くことがありますが、徐々に改善していきます。

予防・ワクチン

アブリスボ(RSVワクチン)

アブリスボ(RSVワクチン)による予防

妊婦さんへの接種

妊娠28-36週の妊婦さんに接種することで、生まれてくる赤ちゃんをRSウイルス感染症から守ります。

母体で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行し、生後6か月頃まで保護効果が期待できます。

接種時期

RSウイルスの流行期(10月〜3月)を考慮して、妊娠後期に接種することが推奨されています。

当院でのRSVワクチン接種について

当院では、アブリスボ(RSVワクチン)の接種を行っています。詳しい情報や予約については以下のページをご覧ください。

ハリーこどもクリニックでの診療

当院でのRSウイルス感染症診療の様子

専門的で安心な診療

迅速診断

RSウイルス抗原検査により迅速な診断を行います

小児科専門医による診療

乳幼児の呼吸器感染症に精通した専門医が診察

RSVワクチン接種

妊婦さんへのアブリスボ接種で赤ちゃんを守ります

早期発見・早期治療

RSウイルス感染症は早期発見・早期治療が重要です。特に乳児では症状が急速に悪化することがあるため、気になる症状があれば早めにご相談ください.

RSウイルス感染症でお困りの方へ

お子さんの症状でご心配なことがありましたら、
お気軽にハリーこどもクリニックにご相談ください。